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薬のお話-生薬としての牡丹とシャクヤク

生薬としての牡丹とシャクヤク

牡丹とシャクヤクは見る者を魅了する美しい花ですが、その一方で古くから漢方の原料としても使用されていることをご存知でしょうか。漢方とは5~6世紀頃古代中国から伝来した中国医学を基に日本国内の風地気候、そして日本人の体質や生き方に合わせて進化を遂げた医学です。様々な作用を持った植物や動物、鉱物等、天然の素材を複数組み合わせ、体のバランスを整えたり、巡らすといった考え方が基礎となっています。

「痛みを取る」、「細菌を殺す」など一つの症状や病気に対して強い効果を持っている西洋薬と違い、漢方薬は1剤に複数の有効成分が含まれているため、多様な症状に効くのが大きな特徴です。牡丹とシャクヤクは婦人病の漢方には欠かせない重要な生薬です。「当帰芍薬散」や「芍薬甘草湯」など婦人科系の漢方薬に多く含まれています。また、風邪薬の「葛根湯」や「養命酒」にもシャクヤクが生薬として使用されています。

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牡丹・シャクヤク:それぞれの効能

牡丹を漢方の原料として使用する場合、「牡丹皮」(ボタンピ)と言う牡丹の根皮を使用します。主要成分はモノテルペン配糖体やフェノール類で血液の循環を促進する働きがあります。主な配合漢方約は「大黄牡丹皮湯」(ダイオウボタンピトウ)や「八味地黄丸」(ハチシジオウゼン)などがあります。

一方で、シャクヤクを漢方の原料として使用する場合、シャクヤクの根の部分を使います。主成分は牡丹と同様でモノテルペン配糖体等で、腹痛や頭痛を緩和する働きがあります。主な配合漢方薬は「黄耆建中湯」(オウギケンチュウトウ)や「桂枝加芍薬湯」(ケイシカシャクヤクトウ)などがあります。

 

西洋医学における研究

近年、ヨーロッパやアメリカで牡丹やシャクヤクの効能についての研究が続けられていますが、有効な成分が多く含まれていることが科学的研究から見えてきました。Die Pharmazie誌の2010年8月号で発表された研究によると、牡丹とシャクヤクには止血や血小板の生成に有効なペオニフロリン、カテキン、ガロイルペオニフロリンやパペノールなどの成分が含まれていることが分かってきました。これらの成分は血液の循環を促進すると共に循環器系の病気の予防としても使われることが期待されます。

また、Archives of Pharmacal Research誌の2010年6月号では、牡丹とシャクヤクの成分の一つであるペオニフロリンの酸化防止作用と肝臓に与える影響についての研究について発表されています。その成分は肝臓を炎症から守る働きがあったことが分かっています。また、ミシガン大学のヘルスシステム部では、牡丹とシャクヤクが将来、肝硬変や肝炎の治療に使用されるのではないかと期待しています。

このように、西洋医学の分野においても科学的な根拠に基づく医学として牡丹やシャクヤクなどの効能が認められてきています。